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「地域猫のために冬の寝床(猫ハウス)を用意したいけど、どう作ればいいのか分からない」「置き場所を間違えるとご近所とのトラブルになりそう」。そんな悩みに、猫ハウスの作り方と置き方のポイントをまとめました。
大分県で不妊去勢手術を専門とする獣医師で、長崎でも保護猫・地域猫の活動に関わっています。そもそも地域猫とは何かについては別記事で解説していますが、この記事では冬の寒さ対策に絞って、猫ハウスの材料・作り方・置き場所の注意点、そして低体温症のサインについてお伝えしますね。
地域猫にとって冬の寒さが命に関わる理由

猫の平熱はおおむね38.0〜39.0℃です。体温が35℃以下まで下がると、命に関わる重篤な状態になるといわれています。屋外で暮らす地域猫は、寒さから身を守れる場所がないと、この体温を保つこと自体が難しくなるんですよ。
私が活動している大分や長崎でも、冬の朝晩は肌寒くなり、猫たちにとって厳しい季節になります。特にリスクが高いのは、高齢の猫、栄養状態のあまりよくない猫、そして体温調整がまだ苦手な子猫です。また、雨や雪で体が濡れた状態で風に当たると、気化熱で体温を奪われやすくなるので、雨風をしのげる場所があるかどうかが大きな分かれ目になりますね。
TNR(不妊去勢手術)を終えた猫も、繁殖は止まりますが、屋外で暮らす生活そのものが変わるわけではありません。冬を無事に乗り越えられるかどうかは、地域猫の寿命にも関わってくる大切なポイントなんですよ。
猫ハウス(寝床)の作り方

基本の材料とサイズ
公益財団法人日本動物愛護協会は、地域猫の冬の防寒対策として、次のような材料での猫ハウス作りを案内していますよ。
- 蓋付きの発泡スチロール箱(目安は幅40cm×奥行30cm×深さ20cm程度)
- 段ボール箱
- 中に敷くタオルや毛布
基本の考え方として、「寒さから身を守れるようにしてあげることが重要」であり、「雨風の影響を受けて中が濡れたり、風が入らないように工夫し、防寒対策を施す」ことが挙げられていますが、手に入りやすい材料でも、この考え方さえ押さえておけば十分に役立つ猫ハウスになりますよ。
防寒性を高める工夫
実際に地域猫活動をしている方々の間では、次のような工夫がよく使われていますね・・・中にはちょっとした職人技も混ざっています。
- 出入口は箱の側面の端に開けると、奥に暖かい空気がたまりやすくなります
- 切り口はガムテープで補強すると、雨や紫外線でボロボロになりにくくなります
- 内側にアルミ保温シートを貼る(蓋の裏側にも忘れずに貼るのがポイントです)
- 大きい箱の中に一回り小さい箱を入れて、隙間に新聞紙や緩衝材を詰める二重構造にすると、断熱性がぐっと上がりますよ。工作が苦手な人ほど手こずるかもしれませんが(汗)、慣れれば数分の作業です。
- ペットボトルにお湯を入れた簡易湯たんぽを併用する方法もあります
毛布は濡れると乾きにくく、カビが生えやすいという注意点もありますが、衛生面を考えると、目安として1週間ごとに交換するのがよいとされていますね。
猫ハウスの置き方と注意点

設置場所の選び方
置き場所は、地面からの冷気を避けるために台の上に設置し、風で飛ばされないよう重しを乗せておくと安心です。猫がひっそりと隠れられる、人目につきにくい場所を選ぶことも大切ですよ。TNRとはを終えた猫であっても、人に近寄られることを警戒する子は多いので、静かに過ごせる環境を意識してあげてくださいね。
大分や長崎の住宅街でも、自宅の敷地内など管理できる場所に猫ハウスを置いている方が多く見られますが、他人の敷地や公道に無断で設置するのは避けて、必ず自分の管理できる範囲に置くようにしましょう。
近隣トラブルを避けるための配慮
地域猫活動は、周辺住民の理解があってはじめて成り立ちます。猫ハウスを設置する際は、可能であればご近所や自治会に一言伝えておくと、無用な誤解を避けやすくなりますよ。
猫ハウス周辺の清潔さも、近隣トラブルを防ぐうえで欠かせないポイントなんですよ。フンや尿のにおいは苦情につながりやすいので、トイレの設置や清掃のやり方については糞尿対策の記事で詳しくまとめています。
低体温症のサインに気づいたら

寒さ対策をしていても、体調を崩す猫が出てくることはあります。次のようなサインが見られたら注意してくださいね。
- 震えが止まらない
- 耳や肉球、お腹など体が冷たい
- 元気がなく、あまり動かない
- 呼吸や心拍がいつもより遅い
- ぼんやりとして反応が鈍い
特に高齢の猫、痩せている猫、子猫はリスクが高いといわれています。冬は猫風邪のサインであるくしゃみや目やにが出やすい季節でもあり、体力が落ちているときほど寒さの影響を受けやすくなります。上記のようなサインに気づいたときは、自己判断で様子を見続けず、早めに動物病院に相談してください。
地域での相談先(行政の取り組み)

地域猫活動を続けるうえで、周辺住民の理解を得ることは欠かせません。環境省は、住宅密集地での犬猫の飼い方について、2010年(平成22年)に環境省のガイドラインを策定しています。地域猫の管理も、こうした周辺への配慮が前提になっている取り組みのひとつなんですよ。
私が活動している大分県・大分市にも、地域猫活動を後押しする案内があります。大分市の地域猫活動のページでは、活動グループの登録や相談先が紹介されています。また大分県の地域猫活動支援のページでも、県内の取り組みが案内されています。冬の寒さ対策そのものを対象にした制度ではありませんが、活動を続けるうえで困ったときの相談先として覚えておくとよいですよ。
屋外の寒さ対策に使える製品の例
猫ハウスは発泡スチロールや段ボールでの自作でも十分役目を果たしますが、「雨風に強く、汚れたら丸洗いしたい」という場合は市販の屋外用ハウスという選択肢もあります。参考までにタイプの違う例を挙げておきます。設置の前に、本文でお話しした置き場所の注意点(管理者の了承・近隣への配慮)はどうか、もう一度だけ確認してあげてください。
屋外用の猫ハウス(プラスチック製)
プラスチック製で防風・防雨を考えた作りの屋外用ハウスです。段ボールと違って雨に濡れても傷みにくく、汚れたら水で丸洗いできるのが利点。中に毛布やフリースを敷けば保温性も補えます。重さがない分、風で動かないよう置き方には工夫が要ります。
蓄熱式の湯たんぽ
電源のない屋外でも使える蓄熱式のペット用湯たんぽです。あらかじめ充電(蓄熱)しておいてハウスの中に入れる使い方ができます。直接触れ続けると低温やけどの心配があるので、必ずカバーやタオルで包んで使ってください。朝までは温度が持たないことも多いので、あくまで補助と考えるのが現実的です。
この記事のまとめ
- ✓ 猫の平熱はおおむね38〜39℃。35℃以下は命に関わる重篤な状態
- ✓ 猫ハウスは発泡スチロール箱や段ボールに毛布・アルミシートを組み合わせて作る
- ✓ 出入口を側面の端に、台の上に設置し重しで固定すると防寒性が上がる
- ✓ 設置場所は人目につきにくく、自分で管理できる場所を選ぶ
- ✓ 震えや体の冷たさなど低体温症のサインに気づいたら早めに動物病院へ
地域猫の冬支度は、特別な道具がなくても、身近な材料と少しの工夫で十分に始められます。まずは手元にある発泡スチロール箱や段ボールで、雨風をしのげる寝床を用意するところから始めてみてください!
※この記事の内容は2026年8月時点の情報です。気温の感じ方や必要な対策は地域や個体差によって異なります。制度・支援の詳細は各公式サイトでご確認ください。体調が気になる猫がいる場合は、早めに動物病院にご相談ください。