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野良猫を病院に連れて行くには?費用と事前準備を獣医が解説

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「近所で弱っている野良猫を保護したけれど、病院にどう連れて行けばいいのか分からない」「費用がどれくらいかかるのか不安で一歩が踏み出せない」——そう感じている方は少なくないと思います。

私は不妊去勢手術を専門とする獣医師として、日々、保護されたばかりの野良猫を診察しています。この記事では、初めて野良猫を病院に連れて行く方に向けて、費用の目安と事前準備を、現場の獣医の立場から解説します。

キャリーケースの中の白い猫
私の現場から:キャリーケースに入って病院へ来た猫

野良猫を保護したら、まず病院に電話を

猫を保護したら、キャリーに入れる前に、まず動物病院に電話をかけてください。「野良猫を保護しました(またはこれから捕獲します)」と伝えると、来院時間の調整や待合室での待たせ方など、病院側から指示をもらえることがあります。

野良猫は感染症を持っている可能性があるため、他の来院者やペットとの接触を避ける動線を用意している病院もあります。事前連絡は、猫にとっても病院にとってもスムーズな受診につながります。

なお、耳の先が桜の花びらのように少しカットされている猫は、すでに保護団体などによって不妊・去勢手術を受けている可能性があります。この目印については耳カットの意味の記事で詳しく説明しています。

病院に連れて行くときの準備

キャリーはハードタイプ・上開きが安心

野良猫は人に慣れていないことが多く、保護された時点で強いストレスを感じています。キャリーは、前だけでなく上からも出し入れできるハードタイプがおすすめです。前開きだけのキャリーだと、緊張した猫が奥に入り込んでしまい、診察室でスムーズに出せないことがあります。

洗濯ネットで飛び出しを防ぐ

猫を洗濯ネットに入れてからキャリーに入れると、診察室で扉を開けたときの飛び出しを防ぎやすくなります。ネット越しでも、聴診や触診、注射程度の処置は行えることが多いです。

ペットシーツの固定と目隠し

キャリーの底に敷くペットシーツは、養生テープなどで固定しておくと、移動中にずれません。さらに、キャリーの上から布やバスタオルをかけて目隠しをすると、他の動物と目が合わずに済み、猫が落ち着きやすくなります。可能であれば、家のにおいがついたタオルを使うと安心感につながります。

先住猫がいる場合はしっかり隔離

自宅に先住猫がいる場合は、保護した野良猫を受診させるまでの間、別室でしっかり隔離してください。野良猫は寄生虫やウイルスを持っている可能性があり、接触によってうつるおそれがあります。コクシジウムなど便を介して感染する寄生虫もいるため、トイレも別にし、片付けの際は手をよく洗うようにしましょう。

病院で行う検査・処置と費用の目安(2026年8月時点)

動物病院の診療は、人間の保険診療とは違い自由診療、つまり全額自己負担です。そのため料金は病院ごとに異なります。以下は一般的な相場ですが、正確な金額は受診前に電話で確認するのが確実です。

項目 費用の目安
初診料 1,000〜3,000円(野良猫の保護時は2,000〜5,000円が目安)
混合ワクチン接種 3,000〜8,000円
ウイルス検査(猫エイズ・猫白血病) 単体で約4,000円、血液一般検査とあわせて5,000〜8,000円
健康診断(基本コース) 5,000〜10,000円
健康診断(標準コース) 10,000〜18,000円
寄生虫(ノミ・ダニ・お腹の虫)の駆除 2,000〜5,000円
不妊・去勢手術 10,000〜30,000円

初診料

初診料は1,000〜3,000円が相場ですが、野良猫を保護して連れて行く場合は、状態の確認や説明に時間がかかることもあり、2,000〜5,000円が目安になります。

ウイルス検査(猫エイズ・猫白血病ウイルス感染症)

猫免疫不全ウイルス感染症(いわゆる猫エイズ)や猫白血病ウイルス感染症は、他の猫との接触やケンカによってうつることがあるウイルス感染症です。検査単体ではおおよそ4,000円ですが、血液一般検査とあわせて行うことが多く、5,000〜8,000円程度になります。さらに生化学検査まで加えると、10,000円近くになることもあります。

ここで知っておいていただきたいのが、検査のタイミングです。感染が疑われる状況(他の猫との接触やケンカなど)から間もないタイミングで検査をしても、正しい結果が出ないことがあります。一般的には、感染が疑われる出来事から30〜45日程度経ってからの検査が望ましいとされています。保護直後の検査で陰性だったとしても、それが確定とは限らないため、時期を空けての再検査を勧められる場合があります。結果に一喜一憂せず、まずは獣医師の説明をよく聞いて、今後の対応を一緒に考えていくことをおすすめします。

健康診断

身体検査・血液検査・尿検査までを行う基本コースは5,000〜10,000円、これにレントゲンと便検査を加えた標準コースは10,000〜18,000円が目安です。野良猫は健康状態が分からないことが多いため、初診のタイミングでどこまで検査するかを、獣医師と相談しながら決めるとよいでしょう。

寄生虫の駆除

ノミ・ダニ・お腹の虫の駆除は2,000〜5,000円が目安です。動物病院で処方されるノミ・ダニ予防薬は1か月あたり1,000〜2,000円程度で、ノミ・ダニとお腹の虫をまとめて駆虫できる滴下タイプの薬は3,500円前後で扱われていることが多いです。

不妊・去勢手術

不妊・去勢手術は10,000〜30,000円が目安です。この猫を保護して飼うのではなく、地域で見守っていく道を選ぶ場合は、TNR(捕獲・不妊去勢手術・元の場所に戻す活動)という選択肢もあります。TNRの流れや費用についてはTNRの流れと費用で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

費用の合計イメージ

初診で検査や処置を組み合わせると、合計で1〜3万円程度になることが多いです(2026年8月時点)。何をどこまで行うかによって幅が大きいので、電話で保護の状況を伝えたうえで、当日どこまで検査するかを相談しておくと、予算感がつかみやすくなります。

よくある質問

Q. ウイルス検査は保護してすぐに受けるべきですか?

体調に明らかな問題がなければ、まずは一度診てもらい、そのうえで検査のタイミングを獣医師と相談するのがよいでしょう。感染が疑われる出来事から日が浅い場合は、30〜45日程度空けてからの検査を勧められることがあります。焦らず、病院の説明に沿って進めてください。

Q. 自由診療とはどういう意味ですか?

人の健康保険のような公的な保険制度が動物病院にはなく、診療費は全額自己負担になる、という意味です。そのため同じ検査や処置でも病院によって料金に幅が出ます。心配な場合は、受診前に電話で大まかな金額を確認しておくと安心です。

まとめ

この記事のまとめ

  • 野良猫を保護したら、まず動物病院に電話を。来院時の指示をもらえることがある
  • キャリーは上開きのハードタイプ+洗濯ネット+目隠しで、移動と診察のストレスを減らせる
  • 先住猫がいる場合は、受診まで別室でしっかり隔離する
  • 初診で検査や処置を組み合わせると、合計1〜3万円程度になることが多い(2026年8月時点)
  • ウイルス検査は、感染が疑われてから30〜45日程度空けての検査が望ましい場合がある

野良猫を病院に連れて行くのは、飼い猫の通院とは違う気遣いが必要です。不安なことがあれば、来院前の電話で遠慮なく相談してみてください。それだけで、猫にとっても飼い主にとっても、受診のハードルはぐっと下がります。

※記事内の費用は2026年8月時点の一般的な目安であり、動物病院により料金は異なります(自由診療のため)。検査のタイミングや猫の健康状態に関する判断は、必ず受診先の獣医師の説明に従ってください。地域や個体差により対応が異なる場合があります。

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