猫の健康

猫の発情期はいつ?鳴き声・スプレーのサインと不妊去勢のタイミング

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「夜通し大きな声で鳴き続ける」「急に家のあちこちに尿をかけるようになった」・・・それは発情期のサインかもしれません。猫の発情は気温ではなく日の長さで始まるらしく、日本ではおおむね2月〜4月ごろと6月〜8月ごろにピークが来るんですよ。

不妊去勢手術を専門とする獣医師で、保護猫・地域猫の活動に関わっています。この記事では猫の発情期がいつ来るのか、メスとオスでそれぞれ何が起きるのか、そして不妊去勢手術のタイミングをどう考えればよいのかを、一般的に確立している内容にしぼって整理しますね。

猫の発情期はいつ?春と夏がピーク

猫の発情期はいつ春と夏がピークのイメージ

猫は一年中いつでも繁殖するわけではなく、決まった季節に繁殖する季節繁殖動物なんですよ。しかも、日が長くなっていく時期に発情する「長日繁殖動物」に分類されます。

発情のスイッチを入れているのは日照時間で、1日の明るい時間がおおよそ14時間を超えると発情が起こりやすくなるとされているんですね。そのため日本では、春(2月〜4月ごろ)と夏(6月〜8月ごろ)が発情のピークになります。

1回の発情はおおよそ14〜21日間続くとされ、妊娠しなければ間隔をおいてまた発情が戻ってきます(2026年8月時点で一般に説明されている目安です)。「1週間鳴き続けて、少し静かになったと思ったらまた始まった」という感覚は、この周期によるものなんですよ。

室内の照明でも発情が起きることがある

この仕組みは太陽の光だけに反応するわけではないんですね。夜遅くまで照明のついた部屋で暮らす猫では、明るい時間が長い状態が続くため、季節と関係なく発情が来ることがあると説明されています。「真冬なのに鳴いている」というのは、決して珍しい話ではありません。

発情期に見られるサイン

発情期に見られるサインのイメージ

発情のサインはメスとオスで大きく違います。まずメスが発情し、その匂いや声にオスが反応する、という順番で起こります。

メス猫に見られるサイン

  • 普段とは違う、太くて大きな声で鳴き続ける(夜間に目立ちます)
  • 体や顔を床・家具・人の脚にしきりにこすりつける
  • 床に低く伏せて腰を高く上げ、後ろ足で足踏みするような姿勢をとる
  • 落ち着きがなくなり、玄関や窓から外へ出たがる
  • 甘えが強くなったり、逆にそわそわして落ち着かなくなったりする

猫は交尾の刺激によって排卵する動物です。つまり、交尾が妊娠に結びつきやすい体のつくりをしています。「一度だけ外に出てしまった」が妊娠につながることは十分にあります・・・侮れませんよ。

オス猫に見られるサイン

  • 立った姿勢のまま、後方の壁や家具に尿を吹きつけるスプレー行動です(匂いがかなり強烈です)
  • 近くのメスに反応して落ち着きをなくし、鳴く・徘徊する
  • 外へ出たがり、脱走を試みる
  • オス同士のケンカが増え、咬み傷による感染症やケガにつながる
対象 目立つサイン 背景
メス 大きな鳴き声・体こすりつけ・腰を上げる姿勢 オスを呼ぶための行動
オス スプレー行動・徘徊・ケンカ 縄張りの主張とメスへの反応

どちらのサインも「しつけの失敗」ではなく、ホルモンに支配された生理的な行動です。叱っても止まりません。

発情はいつから始まる?性成熟の目安

発情はいつから始まる性成熟の目安のイメージ

メス……生後6〜10か月ごろ、体重2.5kg前後が一つの目安とされます。ただし個体差が大きく、生後4か月ほどで発情の様子を見せる猫もいます。

  • オス……生後7〜9か月ごろからマウンティングやスプレー行動が見られはじめ、本格的な交尾が可能になるのは生後9〜12か月ごろとされています。
  • 見た目がまだ小さくても、繁殖能力は先に育つわけです。「子猫が子猫を産む」状況は、実際に起こります。

鳴き声・スプレー・脱走の3つが、飼い主さんをいちばん困らせるところです。発情そのものを家庭で止める方法はありませんが、次の対応は現実的です。

発情期の困りごとと、受診を考えるライン

発情期の困りごとと、受診を考えるラインのイメージ

窓・網戸・玄関の戸締まりは徹底しておいてください(発情期の脱走は、交通事故と望まない妊娠に直結します)

  • スプレーで汚れた場所は、匂いが残らないようしっかり掃除しておきましょう(同じ場所を繰り返しやすいため)
  • 夜間の照明を落として、生活リズムを一定にしましょう
  • 夜間の照明を落とし、生活リズムを一定にする

一方で、次のような様子があるときは、発情とは別の問題が隠れている可能性があります。自己判断せず、動物病院で診てもらってください。

  • 食欲の低下やぐったりした様子が続く
  • 陰部から膿のような分泌物が出ている、お腹が張っている
  • 鳴きながら何度もトイレに行くのに、尿がほとんど出ていない(特にオスは緊急性が高い状態です)
  • 発情のような行動が季節を問わず、いつまでも続く

不妊去勢手術のタイミングはどう決めるか

不妊去勢手術のタイミングはどう決めるかのイメージ

発情に伴う行動の多くは、不妊去勢手術によって落ち着くことが多いとされています。鳴き声やスプレー、オス同士のケンカが減ることで、猫にとっても人にとっても暮らしやすくなるケースは少なくありません。手術で得られることと注意点は、不妊去勢のメリットと注意点にまとめています。

「生後何か月から」は一つに決まらない

手術の時期については、「最初の発情が来る前」を目安に生後6か月前後で案内されることが多い一方、生後数か月・体重1kg程度の段階で行う早期不妊手術も広く行われています。つまり、月齢の数字だけで一律に決まるものではないです。

実際に判断材料になるのは、その猫の体格(体重)と全身の健康状態、そして生活環境です。同じ月齢でも発育の進み具合は違いますし、ワクチンや寄生虫の状況、外で暮らしているかどうかによっても最適な時期は変わります。最終的には、その猫を診た獣医師が体格と健康状態を見て判断するもの、と考えてくださいね。かかりつけの動物病院で、実物を見てもらったうえで相談するのが確実です。

発情の真っ最中は避けることが多い

メスの場合、発情中は生殖器まわりの血管が発達しており、手術時に出血が止まりにくいなどの理由から、発情が収まってから2〜3週間ほど置いてからのほうが望ましいとされることがあります。ただしこれも状況によりますので、時期の判断は獣医師に委ねてください。

繁殖期は外で暮らす猫にも同じように来る

繁殖期は外で暮らす猫にも同じように来るのイメージ

発情の仕組みは、家の中の猫も外の猫も同じです。だからこそ外で暮らす猫の出産は3月〜6月ごろに集中します。年に2〜4回、1回に平均5匹前後を産むため、シーズンが始まると数はあっという間に増えていきます。

春から初夏にかけて、道端で子猫を見かける機会が一気に増えるのはこのためです。もし出会ってしまったときの動き方は、子猫を拾ったときの初動を先に読んでおくと迷いません。

飼い主のいない猫については、捕獲して手術し、元の場所へ戻すTNRの流れと費用の目安という取り組みがあります。捕獲器を使う活動なので事前の準備は必要ですが、繁殖シーズンが本格化する前に手術を済ませられるかどうかで、その年に生まれる子猫の数は大きく変わります。費用面では、さくらねこ無料手術チケットや自治体の助成制度を利用できる場合があります。お住まいの市町村の公式案内ページで、対象や申請方法をご確認ください。

まとめ

まとめのイメージ

この記事のまとめ

  • 猫は日照時間で発情する長日繁殖動物。日本では春(2〜4月)と夏(6〜8月)がピーク
  • メスは大きな鳴き声と腰を上げる姿勢、オスはスプレー行動と徘徊・ケンカが主なサイン
  • 性成熟はメスで生後6〜10か月ごろ、オスで生後7〜9か月ごろが目安。見た目より早い
  • 手術の時期は月齢だけで決まらない。体格と健康状態を見て獣医師が判断する
  • 外の猫の出産は3〜6月に集中。シーズン前の手術が、その年の子猫の数を左右する

発情期の行動は、猫が悪いわけでも、育て方が間違っているわけでもありません。仕組みを知っておくと、慌てずに次の一手を選べますよ。気になる様子があれば、早めに動物病院で相談してください。

※記事内の時期・月齢・体重の数値は2026年8月時点で一般に説明されている目安であり、個体差・地域差があります。特定の猫に対する診断や治療方針を示すものではありません。手術の可否や時期、体調の判断は、必ずかかりつけの動物病院でご確認ください。助成制度の内容は自治体の公式案内ページでご確認ください。

執筆者:calico3(獣医師歴約40年)
大分・長崎で飼い主のいない猫の不妊手術(TNR)に取り組む獣医師が、現場で経験したことを書いています。
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