「長崎で保護猫を迎えたいけれど、どこに問い合わせればいいのかわからない」「近所の野良猫のために何かしたいが、最初の一歩がわからない」——そう感じている方は少なくないと思います。
私は不妊去勢手術を専門とする獣医師で、長崎でも保護猫活動に関わっています。この記事では、長崎で保護猫を迎える方法と、猫を迎える以外の形で保護猫活動に関わる方法を、現場の視点から整理しました。結論から言うと、長崎で保護猫に関わる窓口は大きく分けて「行政」「ボランティア団体の譲渡会」「民間の里親募集サイト」の3つです。まずはこの3つのルートから見ていきましょう。

長崎で保護猫を迎える3つのルート
長崎で保護猫を迎えたいと考えたとき、当たる先は主に次の3つです。
- 行政—長崎市動物愛護管理センター、または長崎県の「ながさき犬猫ネット」
- ボランティア団体の譲渡会—県内の団体が独自に開催している譲渡会
- 民間の里親募集サイト—ジモティーやネコジルシ、ハグーなどのペット里親情報サイト
どのルートにも一長一短があります。特に3つ目の民間の里親募集サイトは、個人間のやり取りになるぶん、先に知っておいてほしいことがあります。個人間の里親募集は無償譲渡(ワクチン代などの実費を除く)が原則で、実費を大きく超える「譲渡費用」を求める投稿は避けてください。また、まれに虐待や転売を目的に猫を引き取ろうとする「里親詐欺」と呼ばれるトラブルも実際に起きています。譲る側・迎える側のどちらの立場でも、面会や飼育環境の確認、譲渡誓約書といった手順を面倒がらない相手を選ぶことが、猫を守ることにつながります。裏を返せば、迎える側のあなたが身分証の提示や自宅確認を求められるのは、猫を大切にしている募集者の証拠です。
それぞれの使い分けと、問い合わせる前に準備しておきたいことを順に見ていきます。
行政ルート:長崎市動物愛護管理センターと「ながさき犬猫ネット」の使い分け
長崎市内で保護猫を迎える最初の窓口となるのが、長崎市動物愛護管理センターです。令和6年(2024年)4月1日に移転開業しています(所在地・アクセスは公式サイトでご確認ください)。収容されている犬猫の見学や譲渡は通年で随時受け付けているほか、譲渡会も開催されています。譲渡会の対象は、市民が持ち込んだ子猫と、センターに収容されている犬猫です。例年、夏から秋にかけて複数回実施される傾向がありますが、開催日や回数は年によって変わるため、必ず公式サイトの最新情報を確認してください。
長崎市外の団体情報や、より広いエリアの譲渡会情報をまとめて探したいときは、長崎県が公式に運営する動物愛護情報ネットワーク「ながさき犬猫ネット」が役に立ちます。県内のボランティア団体による譲渡会情報などを確認できる、県公式の情報プラットフォームです。
ここで注意したいのが、長崎県内でも佐世保市は長崎市とは別の窓口だという点です。長崎市に収容されている動物の情報は長崎市動物愛護管理センターのサイトで、佐世保市に収容されている動物の情報は佐世保市動物愛護センターのサイトで、それぞれ確認する形になっています。「長崎県内だから長崎市に聞けば全部わかる」というわけではないので、迎えたい地域がどちらの管轄かをまず確認しておくと、問い合わせがスムーズです。
団体・譲渡会の探し方と、問い合わせ前に用意しておきたいこと
行政の譲渡会に加えて、長崎県内で活動するボランティア団体が独自に譲渡会を開いていることもあります。こうした団体の情報は、先ほどの「ながさき犬猫ネット」から探すほか、ジモティーやネコジルシ、ハグーといった民間の里親募集サイトも、長崎県内の猫の里親募集を探す選択肢のひとつになります。
民間サイトを使う場合は、先ほどの注意点の繰り返しになりますが、個人間の里親募集は無償譲渡(ワクチン代などの実費を除く)が原則です。実費を大きく超える「譲渡費用」を求める投稿は避け、面会や飼育環境の確認、譲渡誓約書といった手順を面倒がらない相手を選んでください。
ただし、譲渡会や里親募集サイトに問い合わせる前に、獣医師の立場からぜひ準備しておいてほしいことがあります。
- 家族全員の同意—一緒に暮らす家族に猫アレルギーがないか、全員が受け入れに同意しているか
- 住環境の確認—集合住宅であればペット可の物件か、脱走を防げる部屋の作りになっているか
- 先住動物との相性—すでに猫や犬を飼っている場合、頭数や相性の面で無理なく迎えられるか
- 通院できる動物病院のあて—体調を崩したときにすぐ受診できる病院を、迎える前に決めておく
団体によって審査の丁寧さは異なりますが、これらを自分の中で整理しておくと、面談や譲渡後の生活の立ち上がりが格段にスムーズになります。「かわいいから」だけで決めず、10年以上を共に過ごす前提で考えることが、猫にとっても自分にとっても後悔のない選択につながります。
「猫を迎える」以外の関わり方:地域猫活動とミルクボランティア
保護猫と聞くと「迎えて飼う」ことをイメージしがちですが、飼い主のいない猫への関わり方はそれだけではありません。ここで言葉を整理しておくと、保護されて新しい飼い主を待っている猫が「保護猫」、元の場所で不妊去勢手術を受けたうえで地域ぐるみで見守られている猫が「地域猫」です。同じ飼い主のいない猫でも、この2つは関わり方が異なります。
地域猫活動
長崎市動物の愛護及び管理に関する条例では、市は地域猫活動を支援するよう努めるとされています。条例上、地域猫活動は「関係する地域の市民等の十分な理解を得て、市民等が飼い主のいない猫に対して不妊去勢手術を施し、給餌、給水、排せつ物の処理等の管理を行うこと」と定義されています。単に猫に不妊去勢手術を受けさせるだけでなく、手術後もその猫の生活を地域で見守り、管理していくところまでが地域猫活動だという点は押さえておきたいポイントです。
長崎市には、この考え方を後押しする「まちねこ不妊化推進事業」という取り組みがあります。飼い主のいない猫の不妊化手術費を助成する制度で、手術を受けさせるだけでなく手術後の管理まで求める仕組みになっており、地域猫活動への誘導が図られています。不妊去勢手術(TNR)を受けた猫には、耳の先を桜の花びらのような形にカットする「さくらねこ」の目印がつけられますが、TNRの具体的な流れや耳カットの意味については、TNR活動の基本で詳しく解説していますので、あわせて読んでみてください。
ミルクボランティア
猫を迎える体力的な余裕はないけれど、期間を区切って関わりたいという方には、ミルクボランティアという関わり方もあります。長崎市には、ミルク保育が必要な子猫—まだ自分でミルクを飲めない、生まれて間もない子猫—を引き出し、体調が安定する月齢まで育成してから譲渡するための取り組みがあります。
ミルクボランティアとして登録するには、「ミルクボランティア登録申請書」を郵送または持参で提出し、市が開催する講習会を受講する必要があります。募集は通年ではなく、時期を定めて行われます。募集時期は年度ごとに変わるため、関心のある方は長崎市の公式サイトで最新の案内を確認してください。
迎えたあと最初にやること
譲渡会や里親募集サイトを通じて猫を迎えたら、まず行いたいことを獣医師の視点で整理します。
- 健康状態のチェック—目やに、くしゃみ、下痢の有無、食欲や元気の様子を毎日観察する
- 先住動物との隔離—先住の猫や犬がいる場合は、最低でも1〜2週間は別の部屋で過ごさせ、感染症のリスクを避ける
- 早めの動物病院受診—譲渡時に健康チェック済みと言われていても、迎えて数日以内に一度は動物病院を受診しておく
特に、譲渡直後は環境の変化によるストレスで体調を崩しやすい時期です。少しでも気になる症状があれば自己判断で様子を見続けず、早めにかかりつけの動物病院に相談してください。
まとめ
長崎で飼い主のいない猫に関わる方法は、保護猫を迎えることだけではありません。行政窓口や譲渡会に問い合わせる前に自分の生活環境を整理しておくこと、そして地域猫活動やミルクボランティアという形で関わる道があることを、ぜひ知っておいてほしいと思います。
この記事のまとめ
- ✓ 長崎で保護猫を迎える窓口は「行政」「ボランティア団体の譲渡会」「民間の里親募集サイト」の3つ
- ✓ 長崎市動物愛護管理センターと県の「ながさき犬猫ネット」は使い分ける。佐世保市は別窓口
- ✓ 迎える前に、家族の同意・住環境・先住動物との相性・通院先の4点を整理しておく
- ✓ 猫を迎える以外にも、地域猫活動やミルクボランティアという関わり方がある
まずはお住まいの地域がどの窓口の管轄かを確認し、長崎市動物愛護管理センターや「ながさき犬猫ネット」を覗いてみるところから始めてみてください。
※本記事は2026年8月時点で長崎市公式サイト・長崎県公式サイトに掲載されている情報にもとづいています。制度の内容や譲渡会の開催時期は変わることがあるため、最新の情報は必ず公式サイトでご確認ください。また、猫の健康状態には個体差があります。体調が気になるときは、かかりつけの動物病院にご相談ください。